専攻長挨拶

専攻長から皆様へ

国立大学法人 名古屋大学 | 大学院工学研究科 土木工学専攻 | 工学部 環境土木・建築学科 環境土木工学プログラム 専攻長

 名古屋大学土木教室では,未来のより良い社会を構築するために,科学・工学基礎から応用技術に至るまで,土木工学に関する幅広い教育と研究を行っています。また,名大・土木教室は留学生の比率が高く,国際性に富んだ教育環境であることが特徴の一つと言えます。日常の授業においては,伝統的な座学の講義に加え,学生が積極的に参加できるグループワークを取り入れ,各自がアイデアを創造し,議論を重ね新たな気づきや調整能力,失敗から学ぶ力を養うなど,友人とのつながりを介して共に成長できる環境を提供しています。

 本年度は,教員と学生がより一層議論し合える場,また相談し合える自由闊達な教育環境を目指し,土木教室一丸となって取り組んでいきたいと思います。


 さて,名古屋大学土木教室は東海地域を襲った1959年9月26日の伊勢湾台風の激甚被害を契機にして,1961年4月1日に工学部土木工学科として創設され,今年で63年目を迎えました。創設以来,名大・土木教室は,国土の強靭性,持続可能性を兼ね備えた新たな社会,国土づくりに向けて研究活動を行って参りました。

 しかし,過去10数年を振り返えると,2011年に起こった東日本大震災をはじめ,一連の地震で初めて2度の震度7が観測された2016年の熊本地震,これまでの豪雨の計測記録を上回った平成30年7月豪雨,令和元年東日本台風,さらに2024年1月の能登半島地震など,自然災害の激甚化および頻発化が見られるようになりました。大規模被害が想定される南海トラフ地震や地球温暖化に伴う極端気象による風水害等に対して,今後も被害を最小限に抑えるための減災化の取り組みが必要とされています。

 また,新型コロナウィルス感染症拡大によって都市の脆弱さが露呈し,さらにはSDGsや脱炭素社会へ向けた取り組み,人口減少問題も待ったなしの社会的課題です。

 このように激変する社会環境の中,土木工学がどのような未来を築くべきか,これまでとは違った新しい価値観で国土を構築する必要があります。名大・土木教室が背負う使命・責任を肝に銘じ,土木工学分野での研究・技術開発に加え,教室の総力を挙げて人材育成・教育に総力を上げて取り組んでいきたいと思います。


 名古屋大学土木教室に,引き続きご支援,ご助言を頂ければ幸いです。

令和6年4月吉日
環境土木工学プログラム主任
土木工学専攻長
加藤準治